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SFA(営業支援システム)とは?基礎知識や活用方法をわかりやすく解説!
DXが叫ばれる昨今、営業の生産性の向上や業務改善に寄与する「SFA」というITツールへの注目が集まってきています。
「SFA」って名前は聞いたことあるけれど実際に何ができるのかわからないという人は多いのではないのでしょうか?
本記事ではSFAの役割やMA・CRMとの違い、機能、メリット・デメリットなどについて詳しくお伝えします。
SFAとは?
SFAとは、「Sales Force Automation」の略語で、日本では「営業支援システム」などと解釈されています。SFAは、営業部門のメンバー行動や商談の進捗状況などを見える化し、営業活動の効率化や業務改善を実現するためのツールです。
SFAの役割
SFAの広義の役割は営業部門の成果を向上させることです。さらに細かく見ていくと主に以下の3つに分けられます。
◎営業活動を仕組み化・標準化することで、個人差を減らし、組織全体の
パフォーマンスを向上させる。
◎営業活動やその結果を可視化することで、強み・弱みや改善点を把握し、
フィードバックや評価に活用する。
◎営業ノウハウや顧客情報を一元管理し、共有することで、情報ロスや
属人性を防ぎ、顧客満足度を高める。
SFAはこのような役割を果たし、結果として企業の成長、売上・利益の最大化を目的に導入されます。
SFAとMA・CRMの違い
SFAとよく比較されるツールにMA(マーケティングオートメーション)とCRM(顧客関係管理)があります。それぞれどう違うのでしょうか?
MA(マーケティングオートメーション)
MAは、マーケティング活動の一部を自動化することで効率的なマーケティング活動を実現するためのツールです。
MAはリード(見込み顧客)の管理やスコアリング、分析レポート、メールの自動配信やポップアップといった機能を備えており、適切なタイミングでアプローチを起こし関心度や購買意欲を高めるといった見込み顧客の獲得から育成といったリードのナーチャリングを行うことを得意としています。
CRM(顧客関係管理)
CRMは、顧客に関わる情報を一元管理することで、顧客との関係性を管理するためのツールです。CRMでは、自社の顧客との関係性を主軸とした顧客情報の管理を目的としており、既存顧客に対してアフターフォローやクロスセル・アップセルなどを行い、長期的な関係性を築くことができます。CRMは、顧客関係管理を主軸とし、顧客に対して適切なアクションを打つ土台となるツールです。
CRMについてさらに詳しく知りたい方はこちら↓
『CRMで顧客満足度を高める!そのメリットと導入時の重要なポイント』
SFA(営業支援システム)
SFAは、前述したように営業部門のメンバー行動や商談の進捗状況などを見える化し、営業活動の効率化や業務改善を実現するためのツールです。SFAでは顧客との取引や商談、プロジェクトなど「案件化された状態」を軸に情報管理を行っていきます。見込み顧客から成約までに必要な情報や行動を管理し、最適な提案や交渉を行うことができるためSFAは、MAからCRMまでにかかるプロセスをサポートするツールとも考えられます。
以上が、MA・CRM・SFAそれぞれの概念的な違いです。システム・機能面での違いは以下の表にまとめました。
ツール | 主な機能 |
---|---|
MA | メール配信/スコアリング/ナーチャリング/ランディングページ作成/コンテンツ配信 |
SFA | 顧客管理/案件管理/行動管理/売上予測/メール配信 |
CRM | 顧客管理/サポート管理/クロスセル・アップセル/メール配信 |
表からわかるように、各ツールには共通する機能もありますが、それぞれ異なる目的や役割があります。そのため、単体でも有効ですが、連携させることでより効果的に活用することが可能です。
リード獲得から育成、商談、受注といった一覧の流れのなかでツール活用のタイミングはほとんどの場合、以下の図の通りになります。
SFA・MA・CRMの連携については本記事の後半で詳しくお伝えします。
SFAの機能
SFAには、営業活動を仕組み化・標準化するためのさまざまな機能が備わっています。ここでは、代表的な5つの機能について紹介します。
案件管理機能
案件管理機能とは、自社の営業案件の状況を可視化する機能であり、見込み顧客の発掘から成約にいたるまで、営業案件に関する詳細情報を管理することができます。この機能を使えば、提案商品や案件の進捗、停滞や障害の有無、受注見込みなどを管理・分析できるので、営業部門が抱える案件の全貌の把握に役立ちます。また、チーム全体で情報を共有できるので、営業パーソンをフォローするマネジメントの場面でも活用が見込めます。
行動管理機能
行動管理機能とは、営業担当者の行動や結果の見える化を実現し、記録する機能です。訪問件数や提案数、成約率、受注率などを記録し可視化ですることで、強み・弱みや改善点を把握し、フィードバックや評価に活用できます。また、成績が良好な担当者の情報を分析すれば、成功の理由を理解して、他の社員への教育に活用できます。
顧客管理機能
顧客管理機能とは、顧客に関する情報を管理する機能です 。この機能を使えば、顧客名や所属、役職、電話番号などの基本情報だけでなく、過去のやり取りの履歴や購入履歴なども記録できます 。これらの情報を一元管理し、共有することで、より多くのチャンス創出に寄与することができます。また、顧客管理機能は既存顧客の分析にも活用でき、顧客の企業規模や業種、会社形態などでフィルタリングすれば、各顧客の特徴をみることができ、的確なアプローチを行うことが可能です。
商談管理機能
商談管理機能とは、商談ごとに必要な情報や行動を管理し、最適な提案や交渉を行うことで売上獲得をサポートすることができる機能です。商談は営業活動の中核とも言える業務です。この機能を使えば、商談相手の担当者や提案商材、見積もり金額、商談ステージや商談確度、スケジュールから次回以降のアクションなどの幅広い情報を登録・更新・確認できます。これらの情報をもとに、商談ごとに最適なアプローチ方法やタイミングを判断し、受注に近づけることができます。
予実管理機能
予実管理機能とは、累積されたデータを元に売上予測や売上実績を管理する機能です 。この機能は、売上目標や売上予測、売上実績や売上達成率などのデータを登録・集計・分析し、可視化することができます。これらのデータをもとに、売上目標に対する進捗状況やギャップを把握し、目標達成のために必要な対策を立てることができます 。
SFA導入のメリット
営業活動にSFAを導入するメリットを以下ではお伝えします。
管理作業や営業活動の効率化
SFAを導入すると、顧客情報や案件情報、商談情報などを一元的に管理し、簡単に共有することができます。これにより、営業担当者は常に最新の情報をもとに行動できるだけでなく、レポート作成や引き継ぎなどの管理作業も簡単に済ませることができます。
また、マネージャーは営業メンバーの活動状況や成果をリアルタイムで把握し、適切な指示やフィードバックを行うことができます。これらのことから、SFAは管理作業や営業活動の効率化に大きく貢献し、生産性の向上につながります。
営業活動の見える化
SFAを導入すると、営業担当者の訪問件数や提案数、成約率や受注率などの行動データや、案件ごとの進捗状況や受注確度などの様々なデータが可視化されます。これによって、今までブラックボックス化していた営業活動が目に見えるようになり、営業担当者は自分の強みや弱みを客観的に把握し、改善点を見つけることができます。また、マネージャーはチーム全体のパフォーマンスを評価し、精度の高い売上予測や戦略立案を行うことができます。さらに、トップセールスの営業手法を分析し、他のメンバーに教育することも可能です。SFA導入による営業活動の見える化は、個人・チーム・組織全体の成長に大きくつながります。
情報共有により営業の属人化を防ぐ
SFAを導入することで、従来であれば個人に依存していた営業スキルやノウハウ、情報をSFAという1つのプラットホームに集約することができるため、顧客情報や案件情報などがチーム全体で共有され、営業担当者が退職したり欠勤したりしても、他のメンバーがスムーズに引き継ぐことができます。これにより、個人個人のノウハウやスキルの標準化を促進することができ、結果として営業資産の流出や機会損失を防ぐことができます。また、顧客情報や商談履歴などを蓄積していくことで、営業ナレッジを組織内に蓄積することも可能です。このようなことから、SFA導入は営業の属人化を防ぎ、組織力を高めることができます。
顧客満足度の向上
SFAを導入すると、顧客関係が透明化され顧客理解度が向上します。それにより顧客ごとに適切なタイミングや方法でアプローチすることができます。無駄な提案がなくなり、顧客ニーズに応え、さらにパーソナライズされた提案やサービスを提供することができるため顧客からの信頼度や満足度を獲得することが見込めます。また、顧客からの問い合わせやクレームなども迅速かつ適切に対応することができるため、更なる顧客満足度向上につながります。
SFA導入のデメリット
SFAを導入すると、上記でご紹介したように多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。ここでは、代表的な3つのデメリットについて紹介します。
使い勝手の悪いツールも存在する
SFAにはさまざまな種類や機能がありますが、その中には操作性が非常に複雑なものも存在します。例えば、入力項目が多すぎたり、画面遷移がわかりづらかったり、バグが多かったりすると、営業担当者は使いづらさを感じてしまいます。これでは、SFAの本来の目的である営業活動の効率化に反してしまいます。SFAを導入する際は、導入前に実際に操作してみて操作感を確認することが重要です。
データの蓄積が必要
SFAを効果的に利用するには、データの蓄積が必要です。顧客情報や案件情報などをきちんと継続して入力し続けることで、SFAはより精度の高い分析や予測を行うことができます。しかし、このデータの入力は営業担当者にとって負担になる場合もあります。特に、SFA導入直後はデータが少なくて効果を感じづらいため、モチベーションが低下する恐れがあります。SFAを導入する際は、データ入力の重要性やメリットを営業担当者に十分に説明し、継続的な利用を促すことが必要です。
ツールによっては費用が高額
SFAには種類がいくつかありますが、それらの中には導入費用や月額費用が高額なものもあります。特に、オンプレミス型のSFAはサーバー設置や保守管理などにコストがかかります。(SFAには主にクラウド型とオンプレミス型がある)また、カスタマイズや機能追加なども費用が発生する場合があります。SFAを導入する際は、予算やニーズ、自社の目的に合わせて最適なツールを選ぶことが大切です。
SFAを上手く活用するに必要なこと
営業プロセス・マネジメントの改善
SFAを活用し営業力の強化を図るには、営業マンだけでなく営業マネージャーのマネジメントの見直しも必要になってきます。SFA導入によって部門内の売上や利益といった数値の結果だけでなく、営業のプロセスも見える化することができます。従来のように結果だけを追うのではなく、各営業マンの営業活動や業務のプロセスもしっかりとマネジメントすることが重要です。そのため、SFAを導入する前に、自社の商材や顧客に合わせた営業プロセス・マネジメントを構築し、それをSFAに反映させることが重要です。
使用しやすい環境を作る
SFAを活用するためには、その環境づくりも必要です。SFAをせっかく導入しても、現場になかなか定着せずうまく活用できないというのはよくある話です。そのため、SFAの操作性や機能性だけでなく、営業担当者のモチベーションや理解度も含め使用しやすい環境づくりが大切になってきます。。デメリットにて記述しましたが、SFAは、データの入力や分析によって効果を発揮しますが、それらの作業は営業担当者にとって負担になる場合もあります。そのため、SFAの目的やメリットを十分に説明し、データ入力の重要性や意味を理解してもらい、「使って当然」「使った方が便利」と思ってもらうことが大切です。その第一歩として、研修やサポート体制を整えることで、SFAの使い方や活用方法を教えることも重要でしょう。
長期的な目線で活用する
SFAを活用するためには、長期的な目線で活用することも必要です。SFAは、導入した直後に効果が現れるものではありません。データの蓄積や分析には時間がかかるため、効果を感じるまでには数か月から数年かかる場合もあります。そのため、SFAを導入したら終わりではなく、継続的に利用しPDCAサイクルを回し改善していくことが必要です。定期的にデータの精度や分析結果を確認し、KPIや目標値の設定や見直しを行うことで、SFAの活用度を高めることができます。
MA・CRMとの連携でより効果的に活用する
SFAは、商談から受注までの営業プロセスを管理するツールですが、それ以前の見込み客の獲得や育成、それ以後の顧客のフォローやリピート化には十分に対応することが難しいといえますに。そのため、SFA、MA、CRM(顧客管理システム)と連携することで、より効果的にSFAを活用することができます。
MAとの連携
前述した通りMAは、マーケティング活動を自動化するツールで、見込み客の獲得からアポ獲得といったリードの育成を支援します。MAは、見込み客の行動履歴や興味関心を分析し、適切なタイミングや方法でコンテンツを配信することで、見込み客の購買意欲を高めます。MAとSFAを連携することで、SFAに登録された見込み客に対してMAでメールマーケティングなどのアプローチを行うことができます。また、MAで収集した見込み客の行動履歴や評価スコアなどをSFAに反映させることができ、営業は顧客情報をより詳しく知ることができます。さらに、MAで育成した商談可能な見込み客(ホットリード)を見極めてSFAに引き渡すことができます。このようにMAでは見込み客の獲得からアポ獲得までのマーケティングプロセスを効率化し確度が高くなった顧客をSFAへトスアップしSFAではより豊富な情報で商談から受注までの営業プロセスの効率や精度の高い効果測定や検証が可能になります。両者が連携することで、営業部門とマーケティング部門の情報共有や協力が促進され、受注率や受注数の向上が見込めるのです。
CRMとの連携
CRMは顧客管理ツールですが、SFAやMAを連携することでCRMだけでは管理できない範囲の顧客情報や行動記録、取引履歴、温度感などさらに詳しい情報を記録・反映させることができます。SFAやMAで蓄積した情報をCRMにまとめ一元管理することで商談から受注だけではなく、受注からリピートまでのプロセスを管理することができます。
SFA・MA・CRMの連携によってシームレスに顧客情報が蓄積されていきます。
結果として、マーケティング部門、営業部門とカスタマーサービス部門の情報共有や協力が促進され、売上拡大やコスト削減が実現します。
これらのツールはそれぞれ異なる範囲や目的を持っていますが、一つの流れとして捉えることが重要です。SFA・MA・CRMの3つのツールを適切に使い分けて連携させることで、マーケティング・営業・カスタマーサービスの全体最適化が可能になります。
ツールを連携することによる情報共有の簡易化はマーケターと営業マンといった部門間での垣根を低くすることに繋がります。
一点、連携する際の注意点としては、導入前にツール相性をしっかりと確認する必要があるという点です。ツールによっては項目の連携がうまくいかないということも大いにあります。導入前はしっかりとした下調べが大切でしょう。
まとめ
SFAは営業支援のツールであり、営業活動の効率化や売上の拡大を目指す役割があります。営業活動の効率化や売上の拡大を目指すうえで、MA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客管理システム)と連携することで、より効果的にSFAを活用することができます。
近年、急速なDX(デジタルトランスフォーメーション)によってSFAやMA、CRMといったツールの活用に注目が集まっています。
まずはそれぞれの役割を理解し、導入後にしっかりと効果的に活用できるよう導入前から下準備をしておくと良いでしょう。
DXについて詳しい記事はこちら↓
『DX(デジタルトランスフォーメンション)とは?IT化と違いを徹底解説』