出版不況なのに、なぜ成長企業は「本」を出すのか? 「指名される会社」になるストック型ブランディング — 企業出版サイト│クロスメディア・マーケティング

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出版不況なのに、なぜ成長企業は「本」を出すのか? 「指名される会社」になるストック型ブランディング

「出版不況」と言われる時代に、なぜ伸びている成長企業は続々と「本」を出すのか?
広告の効果が長続きしない時代において、自社が選ばれ続ける「ストック型ブランディング」とは?

今回は株式会社グロースソイルの髙橋航平さんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組『ナーチャリングラジオ』に、弊社クロスメディアグループ 広報室長の濱中悠花がゲスト出演した際のトークをお届けします。

テーマは「出版を起点に指名される会社になる」
商業出版と企業出版のリアルな違いから、AI時代にこそ価値が高まる「一次情報」の重要性、そして思考をクリアにして経営を太くする「編集体験」の裏側までお話ししました。

(左:クロスメディア広報・濱中 右:グロースソイル代表・髙橋さん)

出版不況は本当? デジタル時代にむしろ高まる「本」への注目度

髙橋: 世間ではよく「出版不況」と言われますが、僕の周辺に目を向けると、逆に「本を出版した」という話をすごくたくさん聞くんです。実際のところ、今の出版業界はどんな状況にあるのでしょうか? 商業出版や自費出版を含めて、リアルな現状を伺えますか?

濱中: ありがとうございます。「出版不況」という言葉自体は世の中的にも広く認知されていて、確かに雑誌や新聞の市場はすごくシュリンクしていますよね。

一方で書籍に関しては、データ上でも若干の減少は見られるものの、紙の本にデジタルの本(電子書籍)を合わせると、実はほぼ横ばいです。そこまで大きく縮小しているわけではありません。雑誌などの影響で「本そのものが売れていない」と思われがちなのですが、実際弊社の事例でも、AmazonのKindleなどの書籍がすごく売れていますし、特にコロナ禍でもデジタルの書籍が右肩上がりに伸びていました。

ですので、デジタルの本と組み合わせると、実質そこまで減っていないのが現状です。

市場の縮小に伴って全体の「出版点数」自体は減っているのですが、髙橋さんがおっしゃったように「出版することへの注目度」はむしろすごく増している印象がありますね。特に最近は、ベンチャー企業やスタートアップ、成長企業の方が「本の出版」を検討されるケースが非常に増えていて、私たちがご支援するお客様もそういった勢いのある企業様が多くなっています。

枠にとらわれない。クロスメディアグループの多角的な広報活動

髙橋: なるほど。まさに今回のテーマでもある「出版を起点に指名される会社になる」、つまりビジネスを成長させるための打ち手として、出版をどう使っていくかという点への注目が高まっているのですね。

本題をさらに深掘りしていく前に、まずは今回ゲストとしてお越しいただいた濱中さんの自己紹介と、クロスメディアグループで展開されている多角的な取り組みについて教えていただけますか?

濱中: 改めまして、クロスメディアグループで現在広報室長を務めております、濱中悠花です。

新卒で入社して今年でちょうど6年目になるのですが、「メイン業務は何ですか?」と聞かれると答えるのがすごく難しいんです(笑)。というのも、新規事業として広報部をゼロから立ち上げる形で入社以来やってきたので、自分の中で自分の仕事は新規事業担当という感覚に近いですね。

具体的な活動としては、まずオウンドメディア『クロスメディアン』の運営をしています。

動画・Podcast・記事など、クロスメディアに関わる人たちの活動を発信している

また、代表の小早川の発信サポートを通して、それを販促広報、採用広報、さらには社内のインナーブランディングといった様々な方向に波及させていけるような「社長コンテンツ」の制作も行っています。

クロスメディア代表とのPodcast「編集者で経営者」は毎週月曜日に配信中

さらに最近では、自社の広報でうまくいったノウハウや施策を他社様に展開する「広報支援サービス」も始めました。広報チームの規模感やできることの幅が広がってきたことで、かなり多角的にやらせてもらっています。

髙橋: 他社への広報支援まで展開されているのですね。これは広報部の方々が中心となって支援される形になるのでしょうか?

濱中: そうですね。私たちの広報チームだけでなく、本をつくる「編集部」や、Web記事をはじめ本以外のコンテンツを制作する「コンテンツデザイン室」という部署とも連携しながらチームで進めています。

髙橋: 出版社としてはかなり特殊で、面白い形ですよね。

濱中: そうだと思います。本だけに限らず、動画やポッドキャスト、Webメディアなど幅広く展開しているのは、「クロスメディア」という社名をそのまま体現したいという強い思いがあるからなんです。

こうして多角的なアウトプットができるのも、創業期から「ビジネス書」という領域に徹底的にこだわってきたからこそだと思っています。ビジネス書と言っても、いろんな出し方ができると思うのですが、弊社は「ビジネス書をど真ん中に置いてやっていこう」という経営戦略のもと、20年間ブレずにやってきました。その積み重ねがあるからこそ、「ビジネス文脈ならクロスメディアさん」という認知や信頼につながっているのかなと感じています。

商業出版と企業出版(自費出版)の違いとは? 販路や見せ方に差はあるのか

髙橋: ベンチャーやスタートアップ企業が出版を検討する場合、基本的には企業側が費用を負担して出版する形(企業出版・自費出版)が多いのでしょうか?

濱中: 出版手法は大きく分けると「商業出版」と「企業出版(自費出版)」の2つがあり、弊社ではその両方を手がけています。

「商業出版」は、端的に言えば「出版社が本を売るための商品として作る本」です。企画や内容は出版社側の意図や市場ニーズが強く反映され、それに伴って著者の方に原稿を書いていただくような形になります。

一方で「企業出版」は、「企業側が社会に伝えたい明確なメッセージやノウハウ」があり、それを読者に分かりやすく伝わるよう、弊社の編集部が伴走して編集・プロデュースしていく手法です。そのため、企業側が発信したい想いや戦略がそのまま本の中に残りやすいという特徴があります。

髙橋: なるほど。「オファーが来るなら商業出版の方が良い」という単純な話ではなく、「自社が届けたいメッセージや戦略が明確にある場合」は、むしろ企業出版を選んだ方が目的を果たしやすいわけですね。

濱中: まさにその通りです。マーケティングやブランディングの戦略がはっきりしている企業様ほど、企業出版をおすすめできますね。

髙橋: ちなみに、企業出版の場合でも、商業出版と同じように全国の書店などの販路にしっかりと並んでいくものなのですか?

濱中: 弊社の大きな特徴の一つなのですが、企業出版であっても商業出版とまったく区別せず、同じように全国の主要書店に並ぶ流通ラインに乗せて展開しています。販促の仕方はもちろん、装丁のデザインやタイトルの付け方に至るまで、「商業か企業か」で差をつけることは一切していません。

ですので、読者の方や業界関係者の方が手に取ったときに、「えっ、この本って自費出版(企業出版)だったんですか?」と驚かれるような本がすごく多いんです。

髙橋: それは出版を検討している企業にとって、かなり嬉しいポイントですね!

「自費出版だと見栄えや流通で格落ちするんじゃないか」といった懸念の声もちらほら耳にすることがあるので、商業出版と全く同じプロセスで世の中に届くのであれば、経営者としても非常にアプローチしやすいと思います。特定の領域で認知を獲得したい企業にとって、極めて強力な選択肢になりますね。

広告か、書籍か。マーケティング戦略における出版の「ストック価値」

濱中: 本当にそう思います。 逆に私から髙橋さんに聞いてみたいのですが、周囲で「出版した」という方が増えている中で、みなさんどういった背景やモチベーションで本を出されているのでしょうか?

髙橋: 僕の身の回りだと、商業出版と企業出版の比率はちょうど半々くらいですね。どちらの場合も、共通している一番のモチベーションは「その領域における第一人者(カテゴリリーダー)になりたい」という点です。

商業出版を選ぶ方も、単に本を出したいから出すのではなく「自社のビジネス成長に確実につながるテーマのオファーしか受けない」という軸を持たれています。

一方で、企業出版を選ぶ方の考え方もすごく合理的です。商業出版は出版社からのオファーという「チャンスを待つ時間」が発生してしまいますよね。事業成長のスピード感を考えたとき、「いつ来るかわからない機会を待つ」よりも、自費(投資)でサクッと出してしまった方が事業計画上のインパクトが大きい、と判断されているんです。書籍印税で儲けることではなく、「事業そのものを伸ばすための投資」として出版を活用されていますね。

濱中: なるほど! まさに経営戦略の一環として「投資」と捉えているからこそ、意志決定から出版までのスピードを重視されるのですね。

最近は特にそうしたベンチャーやスタートアップの経営者様が増えているので、弊社でもそのスピード感に応えられる体制を整えています。「どうしても半年以内に本を出したい」といったご要望に対しても、柔軟かつスピーディーに対応できる編集・制作ラインを構築しています。

企業様がBtoBマーケティングを検討される際、他社さんとの比較はもちろんですが、「渋谷の大型看板などの大掛かりな広告に投資するか」「ビジネスメディアに出演するか」「本を出版するか」といった選択肢の中で天秤にかけられるケースも増えてきました。

髙橋: マーケティング戦略上の位置づけとしてどう捉えるか、ですよね。 渋谷のど真ん中に大きな広告を打ったりWebメディアを活用するのは、短期で認知を獲得して早く回収したいときの「フロー型」の施策になります。一方で、「長期的に強固なブランドを築きたい」と考える場合、書籍は非常に相性が良いと感じます。

濱中: まさに「フロー型」と「ストック型」の違いですね。 書籍は一回作って終わりではなく、手元に残る「資産(ストック)」になっていきます。デジタル全盛の時代だからこそ、「物理的な物体として手元に存在し続ける価値」は想像以上に大きいんです。

単に認知を広げるだけでなく、「自社が持つ独自のノウハウや知見を、一つの体系立てた形として目に見えるものにしたい」という想いを持つ経営者の方にとって、広告にはない強い価値を感じていただけているのだと思います。

「指名される会社」になるための「いい本」の条件とは?

髙橋: それでは次のテーマに移りたいと思います。書籍の出版を起点として「指名される会社」になるためには、一体どのようなことが必要なのでしょうか?

マーケティング施策にはそれぞれ目的を設定しますが、最終的なゴールはすべて「自社が指名されること」に行き着くと思います。その施策のまさに核(核酸)として書籍を位置づける場合、「この領域ならこの会社が一番だよね」と認知されるようなテーマの設定や出し方が重要になってくるはずです。具体的にどういった要素を揃えて本を作っていけばよいのでしょうか?

濱中: もう一言で言ってしまうと、「とにかく“いい本”をつくる」ことに尽きると思っています(笑)。

そのカテゴリーで1位を狙いにいくような「いい本」をつくること。これが一番大切ですし、出版社である私たちが妥協してはならない部分です。
弊社ではよく、「本はカルピスの原液のようなもの」という例え話をします。本は、経営者の思考や知見がもっとも高密度に凝縮されたコンテンツです。この“原液”となる濃密な本をまず1冊しっかり作っておくと、すべてのマーケティングの軸が定まります。

例えば、広告を回したいときにも本の一部を切り出してコンテンツマーケティングとして発信できますし、YouTubeなどの動画コンテンツを作る際も、本という太い軸があるからこそテーマや話す内容にブレがなくなります。「原液(本)」があるからこそ、その後の「クロスメディア展開」で絶大なブランディング効果・マーケティング効果を発揮できる。私たちはそう確信しています。

ですから、私たちの役割は「いい本をつくること」と「その後のクロス媒体への展開までしっかり伴走すること」、この2つを軸としています。

髙橋: 「カルピスの原液」という例えはすごく分かりやすいですね! では、その核となる「いい本」を作るために、具体的にどんな要素を引き出していくのでしょうか?

濱中: 企業出版の場合、著者の多くは経営者の方です。弊社では、編集部が経営者様から次の「3つの要素」を徹底的に引き出し、社会に分かりやすい形へと編集していきます。

  1. 経験(豊富で具体的な事例) ビジネス書は「事例ありき」のメディアです。どれだけ具体的で豊富な事例(クライアントの成功体験など)を語っていただけるかが非常に重要になります。
  2. 実績(ビジネスとしての成果) ビジネスである以上、「しっかりと成果を出しているか」「再現性をもって事業を伸ばしているか」という説得力のある実績を、原稿の中から引き出していきます。
  3. 専門性(ターゲットに刺さる強み) たとえニッチな領域であっても、「その経営者がどれほどの専門性を持っているか」を明確に打ち出すことです。ターゲットに確実に届くよう、専門性を研ぎ澄ませたタイトルや帯コピーへと昇華させていきます。

出版のベストタイミングと、同業他社と差をつける「専門性」の作り方

髙橋: 「豊富な事例」が必要となると、事業を立ち上げた初日というよりは、ある程度サービスを提供して支援実績や事例が語れるようになってからが出版のタイミングとしては適しているのでしょうか?

濱中: 「出版のベストタイミングはいつですか?」というご質問は本当に多くいただきます。客観的に見て今すぐ出版できる素晴らしい実績があるのに慎重になっている経営者様もいらっしゃいますし、逆に勢いでとにかく出したいという方もいらっしゃいます。

弊社の基本的な考え方としては「いつでも本は作れる」という姿勢ではあります。実際に、本を作るプロセスの中で商品名やサービス内容をブラッシュアップし、言葉として整理されていったというケースも珍しくありません。

ただ、やはり根底にあるのは「世の中に価値あるサービスとして提供できている実態や事例があってこそ、本当に良い本になる」という共通認識です。先日も社内の編集者やクライアント対応をしているメンバーと話していたのですが、しっかりと提供価値が確立されている状態であることが、結果として本のクオリティを担保する最大の要素になります。

髙橋: なるほど。実態と事例があってこそ本物の価値が生まれるわけですね。

もう一つお伺いしたいのが「専門性の打ち出し方」についてです。 弊社グロースソイルのように「ナーチャリング(顧客育成)」という特定領域に特化していれば専門性を打ち出しやすいのですが、世の中の多くの企業様は違いますよね。「採用支援」「営業代行」「Web制作」など、ライバルが無数に存在するメジャーな領域で事業を展開されている会社さんも多いと思います。

そういった競合が多い領域の企業様から「本を作りたい」と相談された場合、どのようにして専門性や独自性を担保されているのでしょうか?

濱中: そうした場合は、まず経営者様ご自身の「ストーリー」から独自性を引き出し、差別化を図るアプローチがあります。

そしてもう一つ、クロスメディアが最も得意としているのが「新しい言葉(概念)を定義すること」です。

ご自身では自社の独自性に気づいていなくても、私たちが本を作る中で新しい言葉や切り口を生み出し、タイトルに落とし込みます。すると、やってきた業務自体は従来と同じであっても、その「新しいタイトル(言葉)」がそのままサービス名として世の中に認知されていくような事例が、弊社にはたくさんあります。

一見すると同業他社との差が見えにくい事業であっても、「新しい言葉で切り取って再定義する」ことで、世の中からは全く新しい専門領域として認知される。そうしたタイトル付けや概念化の技術で、その企業ならではの独自性を引き出していくことを大切にしています。

今売れる本のトレンドと、出版社が著者を「発掘」するリアルな裏側

髙橋: 「指名される本」をつくる上で、トレンドの捉え方も重要ですよね。もし今から本を作り始めるとしたら、どのような切り口やテーマが読者に響くのでしょうか? 今動き始めると、実際の出版は早くても半年後くらいになると思いますが、今後どういった本にニーズが集まると見立てていらっしゃいますか?

濱中: ビジネス書の中で今特に売れていて、トレンドになっているのが「問題提起型」の本です。世の中の当たり前や課題に対して、新しい切り口で問いを立てる本が非常に強いですね。

弊社では、これから流行るテーマやニーズをキャッチするために、編集部や出版営業部のメンバーが毎週のようにトレンド調査を行って情報をシェアし合っています。

最近は特にAmazonや楽天ブックスといったオンライン書店の存在感が非常に大きく、そこで売れる本のトレンドと実店舗の書店のトレンドには少し違いがあったりします。そうした最新の市場動向をタイムリーに編集部にフィードバックし、企画に反映していく連携体制を整えています。

髙橋: なるほど。時代やチャネルに合わせたトレンド分析を徹底されているのですね。

濱中: 少し話は変わるのですが、以前SNS(X)で「出版社はSNSのフォロワー数が多い人にだけ出版オファーを出しているのではないか?」という投稿がすごくバズっていたのを見かけました。実際のところ、出版社としてクロスメディアは少なくとも、フォロワー数だけを見てオファーしているわけではありませんが、「まったく関係ない」とも言い切れない、というのがリアルなところです。

もちろん、SNSのフォロワー数は「その人の影響力」や「ファンの存在」が分かりやすく数値化された指標の一つではあるので、判断材料として扱いはします。ですが、それだけで決めることは絶対にありません。先ほどお話しした「経験」「事例」「専門性」の3つが備わっているかをしっかりと見極めた上で、オファーさせていただいています。

髙橋: 数字だけで機械的に決めているわけではないのですね。では、編集部の方々はどのような方法でオファーしたい著者を見つけているのでしょうか?

濱中: ここは弊社の編集者の個性がすごく出るところで、会社として一律のルールを決めているわけではないんです。強いて言えば、各編集者がそれぞれの得意なアプローチでリサーチしています。

例えば、常にYouTuberを研究しているメンバーがいます。YouTubeの場合も、チャンネル登録者数が多ければ多いほど本が売れるかというと、実はそうではありません。登録者数が数万人規模であっても、「コアで熱量のあるファンがどれだけいるか」を緻密に分析し、「この方ならファンの7〜8割が本を買ってくれそうだ」と見立ててオファーを出したりしています。

また、noteで著者を見つけてくるメンバーも多いですね。私が過去にPRを担当した著者の方もまさにnoteで見つけた方でした。フォロワー数自体はそこまで多くはなかったのですが、記事の投稿を読んでみると内容が驚くほど濃く、「このまま書籍化できるレベルだ」と感じてオファーに至りました。

他にもX(旧Twitter)から発掘するメンバーもいますし、既存の著者様からのご紹介で商業出版が決まるケースもあります。有名な方を除けば、noteやX、YouTube、ご自身のメディアで日頃からどれだけ質の高い発信をされているかが、出版社からオファーが届く大きなきっかけになっていると思います。

AI時代だからこそ際立つ「一次情報」と「人間の手触り」の価値

髙橋: 日頃の濃いアウトプットが出版への引き寄せになるのですね。
普段僕たちもクライアント企業のコンテンツ制作やマーケティングをご支援している中で、「AIを使ってパパッとコンテンツを作るのではダメなのですか?」というご質問をいただくことがよくあります。今のお話を伺っていると、AIで作った浅いコンテンツでは意味がないと感じるのですが……。

濱中: 一概には言えないですが、私たちは、「一次情報(その人しか持っていない体験や知見)」をどこまでも追求するという姿勢をすごく大切にしています。だからこそ、取材もライティングもすべてAI任せにはせず、人間の手で行っています。

実はこれ、会社としては課題でもあるんです。人の手による泥臭いプロセスを大切にしている分、効率化して組織を急拡大させるのが難しい側面もあります。しかし、本・ポッドキャスト・動画・Webメディアなど、すべてのコンテンツにおいて「今の時代だからこそ、地に足のついた“人間の手触り感”のあるコンテンツをつくり続けたい」という強い想いがあります。

それに、昨今言われている「LLM(大規模言語モデル)やAI検索(GEO)対策」という観点でも、AIが最終的に参照・引用するのは、AIが作った二次情報ではなく、人間が生み出した本物の「一次情報」なんですよね。そういう意味でも、このAI時代の流れをしっかり汲み取った上で、人間にしか生み出せないコンテンツを追求し続けることには大きな価値があると考えています。

髙橋: 素晴らしいですね。一つの用途のためだけでなく、情報密度が圧倒的に高いコンテンツだからこそ、他社の社内Slackでシェアされたり、人からの紹介が生まれたり、出版社からオファーが届いたりと、大きな「うねり」を起こす起点になるのだと思います。

そうした質の高い一次情報を発信し続けることこそが、直接の顧客からだけでなく、出版社やパートナー企業などあらゆるステークホルダーから「指名される会社」になるための本質ですよね。

濱中: 本当にそうですね。一つの濃いコンテンツからいくつもの波及効果が生まれる、まさに「一石十鳥」ですね(笑)。

私たちも「それだけの価値を持つコンテンツを作ることができる」という強い確信を持って取り組んでいます。本という高密度なメディアを核としながら、これからも様々な形で価値あるコンテンツを発信していきたいです。

本作りを通して「編集」を体験し、思考を整理して経営を強くする

髙橋: ありがとうございます。それでは最後に、これから出版を検討している企業や経営者の方々へメッセージをお願いできますでしょうか。

濱中: 何度も繰り返しになってしまうかもしれないのですが、やはり「本」というメディアは、それ自体が目に見える形で残り続ける非常に価値のある「資産」になります。

ただ、私が経営者の方にぜひ知っていただきたいのは、完成した本そのものの価値だけではありません。「本を作るプロセスの中で、自社の強みや思考がクリアに言語化され、新しく生み出されていく価値」が間違いなくあるということです。

本作りを通して自社の経営をより強くしていきたいと考えている方に、ぜひ私たちの「出版サービス」、そして何よりクロスメディアが誇る「編集」という体験を味わっていただきたいなと心から思っています。

髙橋: 「編集を体験する」というのは、具体的にどういった感覚なのでしょうか?

濱中: 本ができるまでのプロセスでは、著者である経営者様と弊社の編集部が何度も真剣に向き合い、言葉を紡いでいきます。私たちの一番の強みを問われたら、それは間違いなく「編集力」です。

プロの編集者と徹底的に対話を重ねる中で、これまで社内になかった「新しい言葉」を生み出したり、なんとなく頭の中にあった知見や想いを「体系化」して、誰もが深く納得できる形へと言葉を落とし込んでいく。その「思考が腑に落ちる快感とプロセス」を体験していただきたいんです。

そうした本づくりのプロセスを経て思考がクリアになり、次の経営のステップやビジョンが明確に見えてくる。そんな体験をしていただけたら、出版社としてこれ以上嬉しいことはありません。もちろん、完成した本をブランディングやマーケティングに最大限活用していただきたいですが、それと同じくらい「本づくりの過程」にも大きな価値を感じていただけたら嬉しいですね。

髙橋: 本を作る過程で、経営者ご自身の頭の中や自社の事業方針がクリアに整理されていくわけですね。

濱中: はい。まさに経営者様の思考をクリアにし、事業の軸を太くすることを目指して、これからも一冊一冊の本作りに取り組んでいきたいと思っています。

髙橋: 本日は本当に貴重で深いお話をありがとうございました!

濱中: こちらこそ、ありがとうございました!


【Podcast『ナーチャリングラジオ
ナーチャリング戦略ファームの株式会社グロースソイル 代表取締役 髙橋と、コンテンツディレクターの西村がBtoBのナーチャリングのあれこれをお話しするトーク番組。毎週月曜日配信。

【プロフィール】
髙橋航平(株式会社グロースソイル 代表取締役)
大学卒業後、新卒で人材系ベンチャー企業に入社。マーケティング本部にて、新規BtoBメディア事業の立ち上げを経験。その後、デジタルマーケティングのコンサルティング会社に転職し、コンテンツ編集長として自社マーケティングを推進。2024年1月、株式会社グロースソイルを創業。BtoB企業を中心に、商談創出に焦点を当てたコンテンツマーケティングを支援している。
Xアカウント: https://x.com/gs_k_takahashi
株式会社グロースソイル公式サイト:https://growth-soil.co.jp/

濱中悠花(クロスメディアグループ株式会社 広報室 室長)
米国大学University of Wisconsinを卒業後、2020年12月にクロスメディアグループへ入社。採用広報、販促広報、社内広報の基盤を築く。2024年1月に立ち上げたオウンドメディア「クロスメディアン」での発信を中心に、新しい企業広報の役割を模索しながら活動している。Podcast番組「編集者で経営者」「東京広報大学」パーソナリティー。
Xアカウント:https://x.com/cmg_hamanaka
クロスメディアグループ株式会社 公式サイト: https://cm-group.jp/

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