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新規リード獲得に役立つ企業出版とは?
新しい顧客を見つけたいけれど、ウェブ広告やSNS広告だけでは成果が出なくなってきた。そんな時、デジタルマーケティングとは違ったアプローチで顧客を獲得できるのが企業出版です。企業出版は新規開拓営業にどんな効果をもたらすのか?20万部を超えるベストセラーを数多く生み出してきた、弊社執行役員の中山に聞きました。
成功者が勧める企業出版
───出版と新規開拓営業という言葉は、一見すると繋がらなそうに感じます。ビジネスにおいて、出版にはどのような効果があるのでしょうか?
中山:実は、ビジネスにおける成功者の方々も出版を活用されているんですよ。
例えば、テーマパークなどの再生で知られる森岡毅さん。テレビ東京の『カンブリア宮殿』に出演された際、農林中金さんの事例が取り上げられていました。農林中金が機関投資家向けだったファンド商品を一般向けに販売する際、森岡さんが呼ばれたのです。森岡さんは、農林中金のファンドの名前をわかりやすいものに変えるとともに、学生向けの投資講座を開始。さらに、農林中金や商品への認知度向上を目的に、初心者でも投資を学べる内容の本をつくることを提案したのです。こうしたアプローチの結果、ファンドの口座数は以前の7倍に増加したそうです。
それから、皆さんご存知の堀江貴文さんも多くの本を出版されています。堀江さんは、「紙の本はブランディングに非常に便利」だと述べており、それは本には信用力があるからだと語っています。さらに、ターゲティング広告のような効果があり、本屋という課題を抱えているビジネスマンの集まる場所で、自分が伝えたいことをしっかり伝えられることが利点だと話しています。
狙ったお客様に自分の伝えたいことを伝えられるという点で、出版はビジネスに非常に効果があるのです。
“共感”により潜在層を顕在化させる
───本には、認知度を上げたり、ターゲットにメッセージを伝える効果があるのですね。近年、企業出版というマーケティング手法が取られるようになってきたのはなぜでしょうか。
中山:デジタルマーケティングが増えたことで、消費者が広告疲れしていることが一因ではないかと考えています。SNSやウェブページを見ていると、「今だけ、ここだけ、あなただけ」といったセールストークに追いかけられ、疲弊してしまう。そうすると、広告が逆効果になってしまうのです。
弊社から出版している『広告がなくなる日』というタイトルの本は、インターネット広告の現状をよく表しており、2万部以上売れています。この本の著者も述べているように、商品が売れることだけに力点が置かれたマーケティング活動は、限界を迎えているのではないかと思います。 一方で、企業の成長もウェブやSNSの広告だけでは限界があります。
企業の成長曲線を見てみると、まず自社商品を売るために手軽なウェブ広告を出稿し、売り上げが伸びる。自分たちで運用が難しくなったら広告代理店に依頼し、さらに運用を改善して売り上げを伸ばします。
しかし、商品やサービスに興味のある顕在層をある程度獲得してしまうと、新しいお客様を獲得できなくなります。しつこくインターネット広告を出し続けると、逆に嫌われてしまうことも。成長が頭打ちになるのです。
この限界を突破するためには、ブランディングやPRをうまく活用する必要があります。そこで、本の出番なのです。 本は、ストーリー性のある共感されやすいコンテンツです。本を上手く活用することで、顕在層のシェアを奪い合うだけでなく、潜在ニーズを掘り起こし、新しい顕在層を増やすことができます。出版を活用してオリジナルの顕在層を広げ、レッドオーシャンからブルーオーシャンへ移行して多くのお客様を獲得する流れを作ることができるのです。こうした、企業のフェーズによって有効な施策として、企業出版が増えていると考えます。
出版から広がる、新たなファンやお客様との出会い
───クロスメディアマーケティングでは、どんな出版を行なっていますか。また、具体的にどのような効果があるのでしょうか。
中山:書籍には気づきや発見、新たな知識との出会いがあります。企業が出版することで、読者がユーザーになるなど企業とユーザーとの出会いを生み出すことも、販売する書店と、読者との出会いを作ることもできる。私たちが行うのは、書籍を通して多くの人々の出会いや人間関係を生み出すマーケティング活動を展開する出版サービスです。
他社にもブランディング出版やカスタム出版などさまざまなサービスがありますが、本気で取り組んでいる会社は少ないと感じます。私たちは法人事業の支援サービスとして仕組化して展開し、結果までサポートしていく体制を取っています。
企業出版は、商業出版と自費出版の間に位置します。商業出版は出版社が主導し、売れっ子やSNSフォロワーが多い限られた人しか出版できない場合が多いです。一方、自費出版は自由に出版できますが、書店やアマゾンで売れるかは分かりません。企業出版は、企業のニーズを汲み取りながら、読者に届くよう書籍にし、販売していくサービスです。ニッチなサービスでも必要な人に届くので、効果的なPRツールとなる可能性があります。
出版には、社内、社外それぞれに効果があります。社内に対しては、経営者の経営哲学をまとめるなどして理念を浸透させることができます。メンバーに向けて、今後の方向性を示すことも可能です。
社外に対しては、ブランドや商品、サービスに対して良いイメージを定着させるアウターブランディングの効果があり、信頼やファンの獲得につながります。SNSで自然に拡散されやすいため、認知度の向上にも繋がります。さらに、本を出すことで権威性を獲得し、専門家としてメディアに出演できる例もあります。
出版において成功した事例をいくつかご紹介します。例えば、10万部以上売れた『鬼速PDCA』。この本を出版したウェブサイトを運営する会社は、ヒットをきっかけにコンサルティング事業を立ち上げ、上場企業にまで成長しました。インスタグラム運用サービスを展開する会社のノウハウ本は5万部を突破し、企業の認知度が高まることに寄与しました。
出版している本のジャンルはさまざまです。EC関係のコンサルティングを担当する方の本や、創業150年の日本酒蔵が年商約400%の成長を遂げた裏側をノンフィクションでお届けした本、不動産投資に関する本など。ファンを獲得し、権威性によって安心感を与えることもできます。本は、幅広く新規開拓に活用できるツールなのです。
企業出版を起点としたマーケティング戦略を
─── 企業出版の効果や意義を伺ってきましたが、実際に、どのように新規顧客開拓を行なっていくのでしょうか。
中山:まず興味を持ってもらわないと、本は読まれません。いきなり読んでもらうのは難しいので、マーケティングファネルのターゲットに合わせ、最適なアプローチをしていくことをオススメしています。
まずは非認知層向けのマス広告です。中でも新聞広告は相性が良く、特に日経新聞はビジネス書のターゲティングに適しています。私たちも月1回は必ず広告を出稿しています。アマゾン1位など権威づけがあるとなお注目されますね。社名を出せるので会社の宣伝にもなります。
潜在層に向けては、メディアPRが効果的です。ヤフーなどの大手メディアに取り上げられると、閲覧数が大幅に伸び、コメントも多く寄せられます。その結果、記事内の引用から書籍を認知してくれる人が増え、アマゾンや書店での売上が伸び、著者の名前が知られるようになります。
私たち自身はウェブ媒体を持っていませんが、出版社との関係性を活用し、書籍が紹介されるようアプローチします。話題の本は、ビジネスランキングに取り上げられたり、新聞で著者インタビューが掲載されたりすることも。カンブリア宮殿やWBSなどテレビの経済番組で紹介されることもあります。普段、上場企業でも大きな媒体に特集されることは少ないので、取り上げられるとみなさん喜ばれますね。
徐々に商品やサービスに興味を持ってくれている準顕在層には、コーポレートサイトにウェブ記事を作ったり、書籍のスペシャルサイトを開設したり、ランディングページを作成したりすると効果的です。書店でも、新刊やビジネス書のコーナーで多面展開し、目立たせます。書店でのランキングも本の売れ行きに大きな影響を与えます。アマゾンで売れることも非常に重要です。ただ出版しただけではなかなか読者に届かないので、私たちはアマゾン内でのリスティング広告を支援しています。
顕在層に対しては、書店でのイベントなどリアルな接点をつくります。また、読者特典を用意することで、メールアドレスなどお客様情報を取得できます。こうした情報を活用し、メールマガジンの配信を行うなど、新規顧客獲得に役立てることもできます。 私たちは、アナログとデジタルの両方を駆使して、出版マーケティング戦略の立案から目次構成、取材、制作、書店への流通、販売まで、一連の流れをサポートしています。企画から出版まではだいたい6ヶ月から7ヶ月ほど。長いプロジェクトなので、出版をお考えの方は早い段階でご相談いただくと良いと思います。
───企業出版をする際、特に気をつけるべきことはなんでしょうか。
中山:気をつけなければならないのは、「読者に買ってもらう」のを忘れないことです。誤って書籍を広告と捉え、宣伝本のようになってしまうと、ファンが離れ、逆効果になってしまいます。そうならないよう、編集力のある出版社と協力して進めることが大切です。
加えて、ゴールに向けたマーケティング戦略を持つことですね。通常の販売広告が短い期間で終わってしまうフロー型なのに対して、書籍はストック型で長期間資産として残ります。費用対効果は活用方法次第で変わるので、マーケティング戦略をしっかりつくり、伴走してくれる出版社を選ぶことが重要です。出版して終わりではなく、活用方法を考えて出版に取り組んでいただければと思います。